Last UP Date: 2005年4月30日
S-HTPと言う描画テストをご存知だろうか?このテストは、一枚の紙に家、樹、人を入れて描くと言うテストである。
その3つの要素が入っていれば、後はどのように装飾物を入れて描いても構わない。 小学生が描いたそれらの絵を年代別、学年別、地域別に統計を取り、その違いから子どもたちの変化を知ると言う内容のテストだ。
このテストの詳細についてはここでは詳しくは触れない。もし詳しく知りたい方は誠信書房、三沢直子著「描写テストに表れた子どもの心の危機」をご覧になると良いだろう。
'81年から'99年までの結果を比べてみて明らかなのは、観察力の無さと非現実感である。
最近の少年犯罪は比較的大都市圏で起こる。神戸市須磨区のあの衝撃的な事件や長崎での突き落とし事件、そして記憶に新しい4歳児殴打事件。 情報が氾濫したと言えるほどの現代の子どもたちにおいて、
氾濫している情報は心を養うものでは全く無いというのがこのような事件を引き起こした背景にあるのではないだろうか?
例えば僕の年代はまだ祖父や祖母と一緒に暮らしていた子どもが多かった。そういう中で、年の違いはあれど、祖母と母の関係を見て子どもと親の関係とはなんなのかを学んだ気がする(我が家は父が養子のため)。
祖母が亡くなり、祖父が亡くなる中で命の尊さや儚さを知った。 また、最近はマンションに住む子どもが増え、動物も飼えない。動物を飼うというのも非常に命の大切さを知る意味では重要なことではないかと思う。
核家族で育つ子どもが増えることで、また都会の中の孤独ではないけれど、人との係わり合いを持つ機会が減ることで家族以外の人間は“他人”と思う子どもが増えている。
このことは電車の車内で化粧をする女性が増えたことが裏付けている。他人と思うことで、身近な人間と意識しないことで少々見られると恥ずかしいことでも平気なのではないだろうか。
これらの問題を解決するには、以前の環境に戻ることが望ましいのだろうが、そうもいかない。ではどうする・・・。
美術に触れてきた私の立場から解決の糸口を見つけるのならば、まさに美術活動や表現活動がこれらの問題をいくらかは改善できるものだと確信している。
なぜなら、絵画というのは視野に入ってくるもの全てを限りあるキャンバスに収まるように収集する。これは氾濫する情報から自分が必要な情報を見極め、取捨選択する能力を養う。
時にはそれらを再構成してより理想の絵画を仕上げる。これは自分の持つ情報をスクラッチ&ビルドしてより必要な情報を導き出す能力を養う。
立体に関してはモチーフをあらゆる角度から観察、分析し、モチーフの形を理解する必要がある。これは物事を多面的に捉えようとする能力を養うことに繋がるからだ。
上手な絵が描ければ心は成熟している事などありえない。制作して出来上がった作品よりも、むしろそのプロセスに必要性を感じている。
フラッシュ暗算やフラッシュカード、またはお受験に備えた幼児期からの教育で脳みそのしわを増やし、シナプスを増やすのも良いだろう。しかし、まじめで賢い子どもたちが引き起こす問題にどう説明を付けて対処、
または予防できるかをもっと考えなくてはいけないのではないか。
頭はよく、まじめでおとなしい人間が心の余裕が無い為に、また自己表現の方法を知らないが為に間違った行動を起こすなど、なんともったいない事だろうか。
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