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Last UP Date: 2005年6月30日

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月刊プチ通信 2005年7月号

上手と良い絵の狭間

子ども時代に体験すべき美術要素とは??

以前僕が参加した展覧会の会場にある作家の方がお見えになり、こんなことを話した。

「日本の受験や学校教育の場で評価されるデッザンと言うのはデッサンと言うよりも細密描写だ。」と。そしてその受験制度に関しても日本ではペーパーと実技試験が重視である。 最近でこそOA入試(アドミッション・オフィス入試=自己推薦所と面接を基準に選抜する入試)が取り入れられ、情熱やそれまでの具体的な活動が認められて入学できる学校も増えては来たが、 まだまだごく一部と考えて良いだろう。

この話は長くなるのでこのくらいにしておきたいが、最後に「最低限のデッサン力は必要だが、デッサンの上手い下手や出身大学はその後の進路を大きく左右する要因にはならない。」とだけ言っておこう。

さて、ここからが本題だ。皆さんは“上手な絵”と言うとどんな作品を想像するだろう。例えばお子さんがいる方などは、学校へ参観などで行った際に学校の壁に子どもたちの絵が貼ってあったとする。 どういう作品が目に付き、「上手だなぁ。」と思おうか想像して欲しい。

恐らくリアルに描けてる物を上手だと感じる方が多いのではないだろうか。確かにリアルに描く為にはテクニックも必要だし観察力も問われる。リアルな絵が上手であることは否定できない事実だ。 しかし、一見汚く乱暴で、何が描いてあるか解らないような作品にも目を向けていただきたい。そこには沢山の色の共演がなされ、上手い下手を超えた“何か”を発見できないだろうか?そして響くものを感じることは無いだろうか。

先にも言った様に、リアルな絵を描くには観察力とテクニックは不可欠だが、それだけでは自分の心に思い描いた色や形の表現力(再現力)が育たない。

受験戦争が過熱の一途を辿る中で、「美術にそんな深いものまで求めない。むしろ受験に必要な科目で疲れたときの息抜きで良い。」と考える方もいるかもしれないが、そこは考えて欲しい。子どもだけではなく大人も何らかの形で日々表現をしている。 言葉を操るのに長けている人は喋りや文章で、体を動かすことならダンスやスポーツ、知識を詰め込むことで自分を表現する人もいるかもしれない。そう、表現方法は人それぞれであって、1つである必要は無い。むしろ沢山の表現方法を持っているほうがアドヴァンテージが高いと言えないだろうか。

先日も15歳の少年が家族を殺害した。兄弟同士ノコギリとナイフで喧嘩し合い、兄が妹をバットで襲い、授業中の喧嘩で相手をナイフで刺す。これは全てここ1週間ほどで起きた事件である。

彼らは表現方法を知らないが為に「暴力」と言う最も原始的な表現方法に頼らざるを得なかったのではないだろうか。

絵を描くことが表現だと言う人にも悪い人間はいるし、自分の表現方法を知っていても悪い人間はいるだろうが、しかしこの問題を起こした子どもたちは「大人しく良い子」だったそうだ。

僕個人としては子どもの頃に体験すべき美術的要素はリアルに描くテクニックよりも、表現することの楽しさだと思う。自由に、思ったように描くことで表現することを齧ることだけでもできれば成功だはないだろうか。

だから是非お願いしたい。子どもが訳の解らない絵を持ち帰っても不安に思ったり、怪訝な顔をしないで、少しその子が何を表現しようとしたのか考えていただきたい。

受験にも役に立たないし、就職にも役に立たない。そしてお金にもならないが、表現方法を一つでも多く知っている人の方が、より豊かな人生なのではないかと思う。

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