Last UP Date: 2008年1月31日
皆さんは村上隆と言うアーティストを知っていますか?
この人の作品は1つ1億3千万で売れると言うもの凄さです。
日本国内では、いつだったかのルイヴィトンがチェリー模様か何かのいけてないモデルがあった事で有名かも知れませんね。
この作家は、芸術とビジネスを直結させた上で制作していて、その考えを著した“芸術企業論”は何かと物議をかもしました。
日本の作家にありがちな、“引き篭もり系”や“生きて行く上での不器用さ”は無く、頭も切れてアグレッシヴです。
絵なんて描かなくて、他の道でも十分可能性を感じさせる能力や振る舞いと、自分の作品を自分で作らなかったりする制作スタイルの為、日本では嫌われ者でした。
それを逆手に取り、新しい作品、新しい芸術のあり方を提示した事で海外で大ブレークし、現在逆輸入的に日本でもたまに見かけるようになりました。
僕も以前は批判的でしたが、“芸術企業論”を読めば、共感や疑問符は残るものの、理解する事はできました。
村上隆は、GEISAI(芸祭)というイベントを企画、実施して、日本のアート文化への理解と発展、作家の発掘にも力を入れています。
10回の節目で一端の区切りを付けたイベントでしたが、今年新たな形で復活すると聞き、僕もエントリーしました。
GEISAIには1回目も参加しているので、今回が2度目。
前回も今回も新しい形になって最初の回なので、いろんな意味でドキドキですが、エントリーの段階でちょっと面白い事に気が付きました。
良くアート関係の対談を見たり、僕自身の中にも残念ながら存在しているのですが、アート或いは芸術に入るカテゴリを自然と設定してしまっている事が多々あります。
ガラスは彫刻に入らない。公募展などを見ると陶芸もクラフトの扱いで、立体の分野に陶芸が展示されてる事などはほとんどありません。
しかし、今回のGEISAIのエントリーの際に、自分の作品のジャンルを選ぶ段階があるのですが、そこに“人形”や“ぬいぐるみ”があるのです。
僕も人形(球体関節人形)をモチーフとする作品を制作していたので、身に沁みて感じていたのですが、人形と言うのは彫刻の仲間には中々入れてもらえません。
“人形的”な人体作品として、彫刻などの世界で評価されたものと言えばハンス・ベルメールや四谷シモンを思い出します。
ハンス・ベルメールは関節を球体に置き換え、それをジョイントと考え、ジョイント(関節)で人体をバラバラに分解し、それを再構成すると言う人体の試みをしました。
四谷シモンは木枠と人体の融合と言う新しい形を提示しました。
そういった意味で、僕の作品には彫刻に求められる“ストイックなまでの形に対する探求”が無かったのかも知れません。
ただ、アカデミックな彫刻を学んで来た事で、納得できる事もありました。
まず、僕や多くの粘土人形作家が使用してる“石粉粘土”と言う素材は、自然乾燥で固まっても、また水に濡れると軟化し溶けます。
これは理想の形を永久に残そうとする彫刻にとっては致命的で、野外にも置けないと言う事になります。
そして、球体関節はポーズが変わるのが最大の特徴ですが、彫刻には作家の理想の形が反映されるべきで、場所や時によって形が変わると言う事は彫刻としては脆弱なようです。
しかし、見た目の形の探求よりも精神的なものが反映される作品もあって、その精神性に共感できる他人が居れば、それは作品として成立すると、当時の僕は考えていました。
そう言った意味で、コアな芸術のイベントであるGEISAIが人形をWelcomeな状態で受け入れると言う事は、
“人形も芸術として同じ土俵で評価を下す用意がある”と言う表れでしょうから、これから人形や芸術を志す人にとっては、広く選択肢がふえる礎になってくれるのでは無いでしょうか。
しかし、今回のGEISAIはGEISAIミュージアム2と言うのが正式名称で、参加者のトップからビリッけつまで順位が付きます・・。
ドベならまだ何か起こる可能性を感じますが、後ろから20番とか30番とか微妙なところはやめて欲しいですね・・・。
お問い合わせ |
|
住所 | 千葉県八千代市高津東4-3-8 |
TEL&FAX | 047-487-1303(代表) 090-1938-5389(直) |
info@petite-poupee.com |
copylight@petite-poupee
-画像、記事の著作権はArt-Studio Petite-Poupeeにあります-