Last UP Date: 2007年4月1日
先日展覧会を行いました。
そのご報告を兼ねて今回は書いてみたいと思います。
何故か口調は“です。ます。調”です・・・。
今回の展覧会“BLUE SPIRAL展”は今年で2回目です。
前回のメンバーに展示構成として村田朋子さんを迎えました。
まずは“いしだ典子”
画家であり、僕たち(他4名)の恩師です。
僕と松本さんはアトリエでお世話になって、
佐藤さんと松尾さん、村田さんは先生が講師時代に学校でお世話になっていたそうです。
このメンバーを集めて、そして企画をした本人です。
長年アートと言うフィールドで活動を続けてきた先生ですが、ここに来て色んな分野なり人と、
アートを通してコミュニケーションを取りたいと言う欲求が生まれた事から、2年前にBLUE SPIRAL展を発足させました。
ご本人もとてもパワフルな方ですが、そのパワフルな手腕は時として全体のまとまりを失いますが、反面、勢い付ける原動力ともなります。
作品も還暦を迎えたとは思えない貪欲さで素材の追求などをされていて、今回はガラスにアクリルや油彩で描いています。
しかも、裏返しにして見せているので、重なった一番上の絵の具を見せるのではなく、交じり合い、重なり合った絵の具の一番下の部分を見せているのです。
続いては“佐藤祐樹”
脳科学者です。
東京大学の研究室で脳の研究をされている博士課程のまだ学生です。
去年の年末にアゼルバイジャンの女性と結婚されたばかりです。
“fifth-J”と言うフリーペーパー(今回のメンバーとほとんど同じメンバー構成)
を主宰していて、フリーペーパーの趣旨も異分野交流と言う事の為、このような活動にはとても理解があり、また積極的です。
前回佐藤さんは幾何学系というか、まるで謎めいたパズルを連想させる作品を制作していましたが、今回は映像でした。
映像と言っても、BGMの映像版と言うか、日常の片隅で無限ループで流れていると心地よいような映像でした。
内容も軽いエフェクトが掛かったような作りなのですが、なんとエフェクトに関してはモーションエフェクトすら掛けていません。
ホントにびっくりする事に、1枚1枚静止画を制作して、それを連続して見せているのです。
“静止画の連続が映像”と言えますが、今回敢えて“静止画を連続で見せる”と言う試みをしているのです。
言われなければ映像かもしれませんが、この言葉のニュアンス判って貰えますか?
彼は映像作品を見せているのではなく、大量の静止画をモニターと言う額に連続して見せているのです。
そして“松尾直樹”
去年東京大学を卒業して、今は国家公務員試験の講師をしています。
学生時代は哲学や論理学を勉強されていて、とてもストイックな活動スタイルが特徴です。
今回も試行錯誤の末の結果ですが、その制作工程と本人がとてもシンクロして見えました。
前回は毎日詩のような日記のようなものを書き続けて、それをパネルに貼り付けていくと言う、パフォーマンス的な作品でしたが、
今回はパネルを黒のアクリル絵の具で磨き上げました。
その漆黒の輝きは漆の研ぎ出しの過程で見せる輝きと酷似していて面白いものでした。
しかし、松尾さんはきっと輝き映る自分の輪郭に、自分以外の何かを発見したに違いありません。
作品タイトルは“瞑想者の窓”でした。
今回はこの作品以外にも、壁を挟んだ2つの空間を一本の巾木によって1つの空間へと繋げる試みの作品も展示していました。
とても地味な作品でしたが、元の空間を知ってる僕にはなかなか興味深いものでした。
続いては“松本真由子”
彼女の制作量はとてつもなく、また、作品への描き込みも物凄いです。
テクニカルな要素も十二分に持ち合わせた作品からは、とてつもないパワーと説得力を感じます。
この展覧会の前に“岡本太朗美術賞”にも入選し、4月8日まで、岡本太朗美術館にて作品が展示してあります。
その後に制作されたこれらの作品は、つい3ヶ月ほどで制作されたのですから驚きです。
金額も相当に破格(仕事量と全く釣り合わない)が付いていたのも手伝って、小作品は完売でした。
写真では判りにくいですが、動物の形に切り取られた板に肉の絵が描いています。
空や人物、建築物なども登場して、“肉”と言う、一瞬ギョッとするモチーフをメインに迎えながら、何処と無く漂う平穏感がたまりません。
まだ25歳と若く、専門学校や美大も出ていない彼女のような存在は、僕にとっても脅威です。
良い原動力や刺激にはなりますが、「舩木さんもうすぐ30ですよね〜♪」とか言われると、本気で凹みます・・。
そして僕“舩木大輔”です。
前回にその傾向はあったんですが、今回は小作で行きました。
全て縦が20cmあるか無いかくらいの作品です。
元々小さくなった理由は、大きい作品と言うのは、制作期間が長かったり、制作費もかさむ関係で、“冒険ができない”と言う理由。
それに、あまり大きくなってしまうと、フィニッシュ時期が自分で判らなくなる事。
制作期間が長いと自分が見飽きる事。
などなども理由です。
そうなってくると、作品が守りに入ってしまうんです。僕の場合・・。
“思いつきで作ってみたら意外と面白かった”って事もありえるでしょ?デカイ作品だとそう言う制作がしにくくなるんです。
だから、“思いついたものはとりあえず作ってみる作戦”的にもサイズは小さめでなければいけなかったんです。
んがしかし、作品にとって大きさと言うのはかなり意味のある要素です。
やはりこれだけ小さい作品を今までと同じスタンスで、制作意図でって言うのは、かなり難しい。
と言うか、今までの作品はあの大きさでしか意味を成さなかったんです。
だから、今回はスタンスも意図も全く変えました。
今までのは、自分の内側に制作する意味を見い出してきましたが、今回はかなり外向きな感覚です。
それはタイトルにも現れていて、今まではちょっと難しい、とっつき難い物でしたが、
今回、例えば写真の作品は“ホントに怖いのは武器より態度”って言います。
これは現代の若者(切れやすいとか、意味も無く怒る女子高生とか)、或いは国と国の関係とかからヒントを得ました。
「脳ある鷹は爪隠す」では無いですが、ホントに力のある人や国ってのは、本気で怒らせると怖いでしょうが、普段は優雅に立ち振る舞って居るものです。
逆に大した武器や力も無い人や国に限って、怖い態度を示します。
態度はホントに怖いんですが、よくよく考えると大した武器も無い・・・みたいな事ってありますよね?
まぁこれに関してはそんな感じです。
最後にこの方の紹介も忘れてはいけません。
“村田朋子”です。
今回展示構成を行ってくれました。
作家一人一人の意見を取り入れて、空間的、建築的にそれぞれを配置していく作業です。
作品は一人一人、家で勝手に頑張れば言いわけですが、展示(展覧会)が空間として成功するかどうかはセッティングに掛かってます。
今回その重責を負ってくれたのが村田さんでした。
この展示構成員が入った理由は、前回の展覧会の教訓からで、前回の展覧会はパワーだけはあったのかも知れませんが、空間的には行き当たりばったり感は否めませんでした。
村田さんは東京大学を出た後に留学し、帰国後大手ゼネコンに就職しました。
作家側の主張も強く、全体をまとめるのは大変だったのではと思います。
打ち合わせも十分に行えなかったので、搬入当日まで不安な部分はありましたが、最終的に空間にまとまりが出たのは、村田さんを迎えて村田さんを中心に展示構成を考えた結果だと思います。
さて、展覧会として今回の展覧会はどうだったのかと言うと、個人個人のモチベーションはかなり高かったんじゃないかと思います。
作品の質はまぁまぁだったし、空間も良かったです。
次回があるとして、次回への持ち越し課題としては、やはり普段なかなか専門が違う為、打ち合わせが蜜にできなかった事でしょうか。
グループ展は僕が考えるに、それぞれが勝手に頑張るのではなく、お互いの活動や制作状況でもって刺激し合うその過程が個展に無い最大の醍醐味だと思っています。
なので、僕はグループ展を進める上では、コミュニケーションを重視したいのですが、それがちょっと僕には未消化だったかなと。。
さてさて、今回はこんな感じでしたが次回の展覧会は何処で誰と(一人だったり?)やるんでしょうか。
未定ですが、決まったらここでお知らせします。
今回展示した作品は、後々・・・少しづつ作品ページにアップしますのでお待ち下さい!
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