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Last UP Date: 2006年10月31日

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月刊プチ通信 2006年11月号

障害児施設あごらとの共同コラボレーション企画・ヒューマンアート祭

〜合同作品展、共同制作会、野外展示の実験〜

先月号ここで告知をした通り、障害児施設あごらの子どもたちと僕の教室の子どもたちのコラボレーション企画を先月7日に行った。
今回はその報告も兼ねて、これからの可能性などの発展的な話をしたいと思う。


まず、合同作品展(屋内)から。
合同作品展は会場を僕のアトリエとあごらの施設を開放して使用し、主に平面作品を中心としての展示である。
僕のアトリエに関しては互いのボリュームは同じ程度であったが、作品数や子どもの人数の関係で、あごらの施設にはあごらの子どもたちの作品のみとなった。
しかし、これに関しては今回の企画があごらという施設の一般公開も兼ねていたので、こういう形でよかったと思う。

さて空間としては作品の点数的にも見やすさの点でもまずまずだったのでは無いだろうか。
作品に関してとても面白いのが、僕の教室の子どもたち(特に小学生)はリアル志向になりつつある。
リアル志向に関しては概ね小学生から始まり、中学生くらいでピークを迎えるようなので、それに反せず僕の教室の子どもたちはリアル志向である。

それと対にしてあごらの子どもたちは“自由”でる。
リアル志向の良いところは、より自分の世界観を具体的に表現できる・・・表現と言うよりは伝えやすいと言った方が良いだろうか。
自由な作品。特にその時に感覚に任せて描くものは、線やタッチ一つ一つにその時の心情が表れる。

“リアル”と言うのは対象物があって初めて成り立つ故に、“伝えやすい”“判りやすい”作品としては良いが、 その反面として稚拙だとか下手くそだと言う観方をされてしまう事がある。
自由と言うのはその逆で、形にならない思いを表現できる。そして観る側も自由である。 なので、観る者によっては色々感じ取ろうとしてくれるし、また人によっては全く自由な観方で自由に感じてくれる。
しかし、その反面“判りにくい”“難しい”という観方をされてしまう事がある。

今回はこのように対照的な作品が並んだ事は、お互いの子どもたちにとってもとても良い事だと思う。
“紙の上に乗ってる色の違い”ただそれだけの世界ではあるが、あごらの子どもたちにも僕の子どもたちにも、“自分とは違う世界” に触れた事で、新たな感覚や表現、或いは違いを認め合う事に気が付いてくれればと思う。


そして、合同作品展(屋外)
屋外での展示は作品形状などで、僕の子どもたちはほとんど作品を飾る事ができなかったのだが、あごらの子どもたちの作品が多くあったので、 公園の一部分ではあったが、見ごたえのあるものとなった。
野外展示は子どもたちの作品やあごらとのコラボレーションと言うよりは、「公園と言うパブリックな場所を展示会場とした場合にどのような結果が得られるか?」 を知る為の良い経験であった。

これは、僕自身がギャラリーや画廊と言う場所に限界を感じていた為に、そうではない場所の可能性を探りたいと以前から思っていたからである。
結果としては、かなり展示方法や作品形態(形、素材、作風など)に制限があるものの、普段アートに親しむ機会の無い人にアートに触れるきっかけを作ったと言う意味で成功だったと思う。
展示中も犬の散歩の方や子連れの親子などが観てくれ、中には熱心に作品を観て歩いてくれる人もいた。 セッティング中に差し入れを頂く事もあり、作品や施設だけでなく、今回のような活動そのものを知っていただくいい機会となったと思う。

ただ難しいのは、子どもの作品はともかく、大人になってくるとテーマがハッキリとしてくる。
僕などは、裏か表かと言われれば、明らかに裏の部分を作品としているので、観る人によってはかなりの拒絶反応や嫌悪感を抱く可能性がある。 そう言う作品はこのような場所にはきっと適さないのだろう。
と言うのも、元々“作品展示する場所”と言う認識は来る人の中に無いので、心の準備も何も無いわけである。 そういう中で、いきなり“観せられても”気分を害さない作品という事が前提になると思われる。

しかし、こういう場所で作品を展示する大きな目的は“観てもらう”事以上に“世間のアートに対する免疫力を付ける”事だと思っているので、当たり障りの無い作品ばかりを展示していても発展が無い。
この問題をどう解決していくかがこれからのアート界の問題でもあるだろう。


最後に共同制作会だ。
共同制作会はただただ凄かった!!これは僕の子どもたちは全く大人しかった。
良い方向に捉えるならば“しつけ”が生きているのだと思う。
子どもというのは状況別に判断する事が難しいので、行儀の良い子は往々にして作品が大人しい場合がある。
あごらの子どもたちは作品も自由なら、その制作スタイルも自由で全く捉われていない。 自分の思いに純粋で、“やりたい事はやらずにはいられない”と言ったところである。

最初の内は初めての公園での制作、しかも今までに無い大きなキャンバスという事からか、緊張と戸惑いが見られた僕の子どもたちも、徐々に自由な制作スタイルへと変わっていった。
これは恐らくあごらの子どもたちに刺激されての事が大きく影響していると思う。

僕の子どもたちは“自由に描こう!”と言うと、“自由に描く=自分で考えて描く”と言うように、考えてしまうところがあって、気分に任せて描くという事が苦手な部分がある。
時代性やテーマを熟考して作り上げる作品も素敵だが、“気分に任せて、その時の自分をただたださらけ出しながら作り上げた作品もまた素敵である。” という事に少しでも気が付いてくれるように今回のような活動の機会をまた得られればと思う。


総括として、今回のコラボレーション企画はお互いの子どもたちにとって、とても有意義なものだったと言えると思う。
可能性として、例えば同じテーマやモチーフの作品としたり、展示方法も、あごらもプチプペの子どももランダムに交わらせた展示にしてみるなど、まだまだ実験的に行える事がある。
事務サイドとしては、広報活動や展示期間の確保、細かいことを言えばキャプションの問題や見せ方の問題まで様々だが、子どもたちの作品を観てもらうチャンスを増やす為にも改善できるところから改善し、 取り込めるものは取り込みたいと思う。

“あごら企画ヒューマンアート祭”今回1回目を無事終えたこのイベントを大切に育てて行きたいと思う。

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